平均赤血球容積(MCV)
計算式 ヘマトクリット値(%)/赤血球数(百万/mm³)×10
基準値 80〜100fl
平均赤血球ヘモグロビン量(MCH)
計算式 ヘモグロビン濃度(g/dl)/赤血球数(百万/mm³)×10
基準値 26〜33pg
平均赤血球ヘモグロビン濃度(MCHC)
計算式 ヘモグロビン濃度(g/dl)/ヘマトクリット値(%)×100
基準値 32〜36%
評価基準と異常で考えられる病気
●MCVが80以下で、MCHCが31以下
小球性低色素性貧血(鉄欠乏性貧血、関節リウマチなどの慢性炎症性疾患など)
●MCVが81~100で、MCHCが32~36
正球性低色素性貧血(出血、溶血性貧血、再生不良性貧血、腎性貧血、内分泌疾患など)
●MCVが101以上で、MCHCが32~36
大球性正色素性貧血(悪性貧血<ビタミンB12欠乏性貧血>、葉酸欠乏性貧血など)
検査の目的・意義、検査時の注意
これらは、赤血球数、ヘモグロビン濃度、ヘマトクリット値の検査値をそれぞれの計算式に入れて算出したものです。
その結果から貧血のタイプを分類することができます。
平均赤血球容積(MCV)の数値は1個の赤血球の大きさを示します。数値が基準値よりも小さい場合を「小球性」、大きい場合を「大球性」といいます。
平均赤血球ヘモグロビン量(MCH)の数値は、赤血球1個に含まれるヘモグロビンの量を示します。
また平均赤血球ヘモグロビン量(MCHC)の数値は、赤血球1個に含まれるヘモグロビンの量を示します。
また平均赤血球ヘモグロビン濃度(MCHC)は、赤血球1個あたりのヘモグロビンの濃度を示します。
特にMCHCの数値については、これが基準値よりも小さい場合を「低色素性」、基準値内の場合を「正色素性」といいます。
基準値よりも大きくなることはあまりありません。
MCVとMCHCの数値を組み合わせると、貧血のタイプがわかってきます。
たとえばMCVとMCHCの数値がともに小さい場合は、赤血球の粒が小さくヘモグロビンも少ない小球性低色素性貧血で、赤血球の原料となる鉄不足などが原因です。
若い女性に多い鉄欠乏性貧血が代表的です。MCVとMCHCの数値はともに基準値内で、赤血球の数が少ない貧血は正球性正色素性貧血と呼ばれます。
これは大量出血や、赤血球が次々に壊れる溶血などが原因の貧血です。
またMCVの数値が異常に大きく、MCHCの数値が基準値内のものを大球性正色素性貧血といいます。
このタイプの貧血には、骨髄で赤血球をつくるときに必要な栄養素の不足で正常な赤血球が作れなくなる悪性貧血などがあります。
異常を放置しておくと…
この数値によって貧血のタイプがわかれば、その原因もある程度特定できます。
特に骨髄での溶血が正常にできなくなる再生不良性貧血など内分泌疾患(甲状腺機能低下症、副腎皮質機能低下症などによるホルモンの異常)などが原因の場合は、食事などの生活習慣の改善だけでは治りません。
中には放置すると進行して生命に危険が及ぶ病気もありますから、先生の指示のもと、しっかりと治療をすることが大切です。
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