この検査項目は、血液1dlのヘモグロビン濃度(血色素量)を調べる検査です。ヘモグロビン濃度を検査することにより、多血症や貧血の有無をチェックます。
ヘモグロビン濃度(血色素濃度、Hb)の基準値
男性:13〜17g/dl
女性:12〜15g/dl
基準値より低いときに考えられる病気
貧血(鉄欠乏性貧血、ビタミンB12欠乏性貧血、溶血性貧血、再生不良性貧血など)
症状
息切れ、疲れやすい、顔色が悪い、動悸、爪がスプーンのように凹む(スプーン爪)などが考えられます。
基準値より高いときに考えられる病気
多血症、脱水、ショックなど
症状
多血症ではほとんど無症状か、頭痛、のぼせ、赤ら顔など。脱水、ショックなどでは倦怠感、頻脈、血圧低下、意識障害などが考えられます。
検査の目的・意義、検査時の注意
1dlの血液中のヘモグロビンの濃度を調べる検査です。ヘモグロビンは赤血球の中に詰まっている赤い色素で、血色素ともいいます。
ヘモグロビンは酸素と結びつきやすい性質を持っていて、肺で酸素を受け取り、全身の細胞まで運ぶ働きをしています。
ヘモグロビンの量が少ないと、全身に酸素がいきわたらず、体が酸欠状態になります。
ヘモグロビンは、鉄を含むヘムという色素とグロビンという蛋白質でできています。そのためその原料となる鉄分の摂取が足りないと貧血になります。
異常を放置しておくと…
赤血球と同様です。貧血が長い時間をかけて徐々に進んでいる場合、その状態に体が慣れてしまい、倦怠感などの自覚症状に気づかないことがあります。
また多血症でも自覚症状がないことが多いので、定期的に検査を受けて経過を見て、異常があれば積極的に改善することが大切です。
ヘモグロビンを増やす方法
ヘモグロビンが下がると貧血という状態になり体に不調をきたすことが分かったと思います。どちらかというと『高い』ことに悩むというより『低い』ことで悩まれている方がほとんどです。
ヘモグロビンを増やし元気に生活するためのコツを紹介したいと思います。
1. 鉄分不足を解消する
ヘモグロビンが低くなってしまう大きな原因は、貧血によるもので鉄不足を解消することが健康への第一歩といえます。
ヘモグロビンの量を上げる上で最も手っ取り早い方法といえます。
鉄分を含んだ食品は、海藻、ほうれん草、小松菜、パセリ、ひじき、豚レバー、鶏レバー、牛もも、赤身肉、アサリ、シジミなどがあります
これらの、鉄を多く含む食品には、動物性食品に含まれるヘム鉄と、植物性食品に含まれる非ヘム鉄があり、体内での吸収率が異なります。
ちなみに、ヘム鉄を含む動物性食品には、豚レバー、鶏レバー、牛もも赤身肉、アサリ、シジミなどがあります。
その割合は、非ヘム鉄の2~6%に対し、ヘム鉄は25~35%となっており、大きな差があるので食べるのであればヘム鉄の食品が良いでしょう。
2. 食生活を改善しましょう
鉄を含む食品を摂っているからといって、それだけで鉄不足が解消されるわけではありません。
気を付けたいのが、私達が普段何気なく摂取している食品の中には、鉄の吸収を阻害する働きを持つものがあるということです。
例えば、コーヒーや紅茶などに含まれるタンニンは、鉄と結びつくことで水に溶けにくくなることから、吸収率を下げてしまいます。
また、インスタントフードやお菓子などに含まれる添加物に使用されるリン酸塩や、健康的な食品の代表格とも言える大豆や玄米に含まれるフィチン酸塩も鉄の吸収を妨げる働きを持っています。
せっかく、意識して鉄を摂取しても、これらの食品を同時に摂っていたら、鉄を体内に摂り込むことが難しくなってしまいます。
ヘモグロビンを上げるためには、積極的に摂取すべき食品の他に、避けるべき食品があることを覚えておくことが大切です。
3. 有酸素運動をしましょう
有酸素運動は、ヘモグロビンの量をを上げるうえでとても有効です。
有酸素運動とは、酸素を多く取り込みながら長時間行う、比較的軽度の運動を言います。
しかし、ヘモグロビンを上げるためには、息が上がるほどの運動を行っては意味がありません。息が上がってしまうと取り込める酸素量が減ってしまうからです。
できるだけ負荷の少ない形で運動を行うことが大切になります。
ハードな運動も貧血の方は禁止です。汗にはミネラルも含まれています。そのミネラルには鉄が含まれています。
つまり、汗をかくと鉄を失うことになるため、本末転倒となってしまうのです。
4. サプリメントなどを有効活用
鉄分を補給する食品としてヘム鉄を含む、豚レバー、鶏レバー、牛もも赤身肉、アサリ、シジミなどは効率的で良いというお話をしましたが、なかなか欠かさず摂取するのは難しいと考えられます。
そこで鉄分補給サプリメントの活用です。普段の食事を変えずに鉄分だけを重点的に摂取できるところがポイントです。
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