検査項目ACP(酸性ホスファターゼ)の基準値
・ 0.1~0.7U(ベッシ―・ローリー法)
・1.0~4.0U(キング・アームストロング法)
酸性ホスファターゼとは
リン酸を分解する酵素のひとつです。ほとんど全身の組織や細胞に存在するが、なかでも前立腺に多く含まれています。
疑われるおもな病気などは
高値
前立腺疾患:前立腺肥大症、前立腺がんなど
悪性腫瘍 :骨・肝転移を伴う乳がん・胃がんなど
血液疾患 :ゴーシェ病、白血病、血小板増多症など
低値
低栄養
前立腺がんでACPが高値に
ACP(酸性ホスファターゼ)は、前立腺にたくさん含まれている酵素のため、前立腺がんの疑いがあるときは、まずは血液中のこの酵素の値をチェックします。
ただしこの酵素は、前立腺肥大症でも上昇するため、高値だからといってすぐに前立腺がんに結びつくわけではありません。この検査での前立腺がんの正診率は30%以下とされています。
血小板増多症や白血病などでも高値に
この酵素は、血小板や白血球中にもたくさん存在します。そのため、血小板増多症や白血病、とくに慢性骨髄性白血病で高値になります。
検査法により基準値が異なる
検査法には各種あり、今回2つの方法の基準値を示しました。ACP(酸性ホスファターゼ)は赤血球中にも存在するため、検査で採血・分離するとき赤血球が壊れる(溶血)ことがあり、その場合は酸性ホスファターゼが外へ出て軽度上昇します。検査当日の飲食は普通にとってかまいません。
境界値のときは再検査
境界値の場合は採血した血液に溶血がなかったか、あるいは血小板数をチェックして偽の高値ではないかを確認し、いずれにしても再検査します。
基準値より高いときは、男性ではまず前立腺の病気を考えます。前立腺がんは前立腺肥大症に比べて高値になり、がんの骨への転移が認められるときはさらに高値になります。この場合は病的骨折に注意する必要があります。
臨床的意義がより高いPAP
一般にACP(酸性ホスファターゼ)というときは、組織や細胞に存在するすべての酸性ホスファターゼをあわせたものを指します。そのうちの前立腺に由来するものをとくにPAP(prostatic acid phosphatase:前立腺酸性ホスファターゼ)と呼びます。
PAPは前立腺がんの指標として、当然ながら酸性ホスファターゼより臨床的意義が高く、重要です。PAPの基準値は3.0ng/dl(RIA法)で、10ng/dlを超えると前立腺がんの疑いが強くなります。
近年のPAPの傾向
前立腺に含まれるものは前立腺酸性ホスファターゼ(PAP)は、かつては前立腺がんの腫瘍マーカーとして利用されていました。しかし、感度が低いために、現在ではPSA(前立腺特異抗原)が利用されています。
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