検査項目Na(ナトリウム)の基準値
・135~145mEq/l(イオン電極法)
Na(ナトリウム)とは
体の水分の保持、浸透圧の調節(酸ー塩基平衡の調節)などにたずさわっている電解質(陽イオン)です。
疑われるおもな病気などは
高値
発汗過多、熱傷、高度の下痢、尿崩症、食塩過剰摂取など
低値
腎不全、ネフローゼ症候群、うっ血性心不全、肝硬変、利尿剤の過剰内服、嘔吐、下痢など
腎不全などで低下
ナトリウムは、腎機能の異常を疑うときや、浮腫(むくみ)などの体液過剰症状、尿量異常などがみられるとき検査します。
体の中のナトリウムの97%は細胞外液の中にあるため、体内の水分の増加とナトリウムの体外への出が多くなると低値になります。体内の水分とナトリウムの調整は、腎臓(+尿管)で行われています。
腎臓の機能が低下する腎不全になると尿量が減少して体内の水分が外へ出ていかなくなるため浮腫(顔や手足のむくみ)になり、体内のナトリウムが水分で薄まって血液中のナトリウムは低値になります。
その他、肝硬変や心不全でも尿量が減少し同じようにナトリウム値が低下します。
過剰の発汗、脱水などで高値に
またナトリウムは、過剰な発汗、激しい下痢や嘔吐がみられるときにも調べます。これらの症状によって、体の中の水分が異常になくなると、体内のナトリウム濃度が上昇し、血液中のナトリウムが高値になります。
ナトリウムが、高値になる原因のほとんどは水分の欠乏で、塩分を多くとり過ぎたためにナトリウム値が上昇することはそんなに多くありません。
塩分を多くとった場合は、体は口の渇きを感じ、水分をたくさんとるようになり、ナトリウム濃度が上昇し過ぎないように調節しています。
異常値が出たら、さらに細かく検査を
約0.5mlの血液を遠心分離して、自動分析器で測定します。検査前に異常発汗があったり、過剰に塩分をとり過ぎると、一時的に軽度の高値になることがあります。検査当日の飲食は普通にとってかまいません。
ナトリウムは低値の異常が多いのですが、高過ぎても低過ぎても体にとってはよくありません。ナトリウム値の異常は病気の原因でもあり、結果でもあります。脱水でも浮腫でも、おこれば循環不全となり、体にとっては大きなマイナスになります。
異常値が出たら、その理由をはっきりさせるため、さらに細かな血液検査や心電図、胸部単純X線撮影などを行います。ナトリウムはクロールという電解質と同様の変化を示すので、両者はつねに同時に測定します。クロールの基準値は98~108mEq/lです。
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