検査項目リパーゼの基準値
・45~50U/L(比色法)
リパーゼとは
膵臓に含まれている消化酵素のひとつで、十二指腸で分泌されて食物中の脂肪を分解する働きをする。
疑われるおもな病気などは
高値
膵疾患:急性膵炎、慢性膵炎、膵臓がん、膵嚢胞など
その他:腎不全、肝障害など
低値
慢性膵炎(膵機能荒廃期)など
急性膵炎で高値に
リパーゼもアミラーゼと同じように、膵臓の病気を調べる重要な検査です。膵炎などで膵細胞が破壊されるとリパーゼは血液の中へたくさん出てきて高値になります。
この変化は、ほとんどアミラーゼと同じ動態を示しますが、リパーゼのほうがより膵臓に特異的に変動します。「特異的」とは、ほかの病気の影響が少ないということです。
急性膵炎では、激しい腹痛とともにリパーゼの値が基準値の数倍になります。慢性膵炎や膵臓がん、膵嚢胞でも上昇しますが、その程度は2~3倍にとどまります。しかし、急性膵炎のように1~2週間の上昇ではなく、異常値の持続することが特徴です。
腎不全でも高値に
血液中のリパーゼは、尿へ排出されます。そのため、腎臓の働きが低下する腎不全ではリパーゼの排泄が悪くなり、膵炎をおこしていなくても血液中で持続的な軽度の上昇がみられます。
また、肝疾患でも軽度の上昇をみることがあります。
重症急性膵炎では繰り返し測定
約0.5MLの血液を遠心分離後、自動分析器で測定します。この検査項目に関しては、検査当日の飲食は普通にとってかまいません。
膵炎では、リパーゼはアミラーゼとほとんど同じように変動しますが、基準値に戻るのにアミラーゼより1~2週間遅れる特徴があり、急性膵炎の回復の指標として重要です。
激しい腹痛を示す急性膵炎の重症例では厳重な経過観察が必要で、基準値になるまで繰り返し測定します。
腹痛があり、リパーゼが上昇したときは膵臓の病気を考え、膵酵素や腹部超音波、腹部CT、逆行性膵胆管造影などで精密検査を行います。
膵臓の病気では腹部症状(腹痛)があるため病気が推測できますが、腹部症状がなくリパーゼが上昇しているときは腎臓からの排泄低下と考え、尿検査、尿素窒素やクレアチニンなどの血液検査、腎盂造影などが必要になります。
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