日本では、4人に1人、約3000万人もの人が脂質異常症と推計されています。
検査項目HDLコレステロールの基準値
男性:36~58mg/dl
女性:43~73mg/dl
HDLコレステロールとは
コレステロールやトリグリセリドなどの脂質は血液には溶けない。このためアポ蛋白という蛋白と結合し、血液に溶ける形になって全身に流れていく。これをリポ蛋白と呼び、比重の違いから『カイロミクロン』、『VLDL』、『LDL』、『HDL』の4つに大別することができます。
このうちのHDLに含まれるコレステロールをHDLコレステロールといいます。
HDLコレステロールは、血管内壁にへばりついて動脈硬化を引き起こすコレステロールを引き抜いて、肝臓まで運ぶ働きをしています。このことから「善玉コレステロール」と呼ばれています。一方、LDLコレステロールは、細胞内に取り込まれなかった余剰なコレステロールを血管内に放置し、動脈硬化を引き起こす原因となるため、「悪玉コレステロール」と呼ばれています。
高血圧や糖尿病などをすでに患っているひとが脂質異常症を合併すると、動脈硬化が促進されます。
なお、女性の高コレステロール血症は、更年期・閉経以後に多く認められます。これは、エストロゲンという女性ホルモンが減少するからです。
エストロゲンにはLDLを細胞に取り込んで利用する働きがあります。ですので、更年期を迎えてエストロゲンが少なくなる年代は食生活が乱れていなくても高コレステロール血症になりやすくなるのです。
中高年の女性におすすめなサプリメントは『大豆イソフラボン』です。
疑われるおもな病気などは
高値
長寿症候群、薬剤(クロフィブレート、HMG-Coa還元酵素阻害剤)の影響、CETP欠損症など
低値
動脈硬化、LCAT欠損症、糖尿病、肝硬変、腎透析など
低値が続くと動脈硬化に
総コレステロールと同様、HDLコレステロールも動脈硬化をチェックする重要な検査です。
HDLは、末梢組織にあるコレステロールを肝臓に運搬する働きをしているため、HDL中のコレステロールが多い場合は末梢組織のコレステロールが少なくなり、逆に少ない場合はコレステロールが十分に肝臓に運ばれずに末梢組織に残り、動脈硬化をおこします。
HDL中のコレステロールが40mg/dl以下になると動脈硬化になりやすくなり、急性心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患、脳梗塞などの脳血管障害をおこしやすくなります。一方、高値の場合は動脈硬化になりにくく、長生きの人には80mg/dl以上が多いといわれ、これを長寿症候群といいます。
喫煙、肥満、運動不足で低値に
HDLコレステロールは、喫煙や肥満、運動不足などでも低下します。低値の人は、喫煙、食事・運動など日常生活の改善を心がけることが重要です。
女性は男性より高値
検査は特殊な沈殿試薬でVLDLやLDLを沈殿させ、うわずみに残ったHDL中のコレステロールを酵素を用いて測定する方法が一般的です。また、最近は直接測定する試薬系が開発されています。女性は男性に比べ高値で、これは女性ホルモンがHDLコレステロールを上昇させるためと考えられています。
HDLコレステロールは食事・飲酒の影響を受けるため、検査前日の夜9時以降の食事・飲酒は禁止、当日の朝も絶食です。
低値でも総コレステロールが低値なら問題ない
HDLコレステロールは前項の総コレステロールと関係しており、HDLコレステロールが低値でも総コレステロールが低値であれば、とくに問題になりません。
逆に、HDLコレステロールが高値でも総コレステロールが極めて高値の場合は運動や食事(コレステロールや脂肪のとり過ぎなど)で改善することが必要です。
また、総コレステロールを下げる目的で服用する薬剤の中にはHDLコレステロールも低くするものがあります。これでは動脈硬化を予防するのが十分ではないため、医師に薬剤の効用を確かめることが肝要です。
コレステロール異常への対処法
1.食物繊維を摂取しコレステロールの吸着させて体外に排出する
2.抗酸化作用を持つ成分を摂取し、LDLの酸化を防ぐ
3.大豆たんぱく質の摂取によりコレステロールを減らす
4.青魚に含まれるn-3(オメガ3)系必須脂肪酸(DHAやEPA)を摂取し、血栓症を予防する
これらは食生活の見直しが優先ですがサプリメントで補うことも可能です。また、運動習慣をもつことも大切です。
コレステロールをコントロールするサプリメント対処法
肝臓でのコレステロール合成を抑える
・紅麹
コレステロールの吸収を抑える
・キトサン ・植物ステロール
コレステロール値を下げる
・グアガム ・グーグル ・コロハ ・セサミン ・大豆イソフラボン ・冬虫夏草 ・トコトリエノール・ニンニク
抗酸化作用をもつサプリメント
・青汁 ・カカオ ・トコトリエール
血液をサラサラんにして血栓の形成を防止
・EPA ・DHA ・ナットウキナーゼ
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